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戦隊シリーズの分水嶺「光戦隊マスクマン」
JUGEMテーマ:エンターテイメント 

久々に特撮ヒーロー談義といきましょう。

2013年度は「獣電戦隊キョウリュウジャー」となることが
発表されている東映スーパー戦隊シリーズ。その26年前、
1987年に放送されたのがこの「光戦隊マスクマン」だ。
善くも悪くも数々の新機軸が込められたツッコミどころ満載の
魅力に溢れた作品であることを始めに明言しますが、
1987年というバブル崩壊、また冷戦の終焉を目前にした
飽和した時代状況が観て取れる、といったら言い過ぎなのか。
ゴレンジャー〜バトルフィーバーJの初期戦隊が
国家防衛組織、それに属するプロフェッショナルが結集した
精鋭5人によるチームであったのが、民間の研究組織だったり
宇宙から、もしくはある者から特殊な力を授かった人間が
集められただけだったり、と設定は次第に自由度を帯びてきた
訳ですが、悪く言えばシリーズ化によるマンネリズムを避けるための
あれこれと理由付けと個性作りの苦労が窺える。
さりとて通算11作目(もちろんゴレンジャーを1作目として、ですよ)の
マスクマン(このネーミングはやや危惧せざるを得ませんが)の頃は
まだまだ安定感のある視聴率を保持していましたし勢いが持続していた
末期といえましょう。このあと戦隊も冬の時代が到来しますが…。

何といってもマスクマンの力の根源が、人間が本来持っている
オーラパワー。それを鍛えることで強化し戦士へと変化できる。
オーラパワーというのは気功のことであり、スーツやアイテムの力でなく
人間自身の隠された力、というのが当時の文化的兆候、を感じさせる。
ネイチャーブーム、オカルト、ニューエイジ的な切り口。
ピンチになると「メディテーション!」と印を結び座禅を組むシーンが
よく見られた。クライマックスほどこのシーンになりスピード感が削がれて
ずっこける気がするがこれがマスクマンの味である。

地上の人間社会を征服せんと侵攻を開始した地底帝国チューブ。
彼らもまた、「地上とは袂をわかち別の進化を辿った人間」と説明されている。
全てが人間界の事象として物語がつくられているのだ。
高度な科学力を持った犯罪組織、という設定の多い戦隊ヒーローでは
珍しいものではないのだが全くの異文化・価値観を持った人間が相手である、
というのはポイントだと思う。ダイナマンのジャシンカ帝国はやはり地底からの
侵略だったが「有尾人」という別の種族だったしアクマイザー3の「アクマ族」も
半分機械化した地底人類、とやや毛色が違う。
チャネリングのような宇宙を含めたあらゆる外界とつながろうという
バブリーな文化意欲、がここにも影を落としている(笑)気がする。
そしてその地底帝国の名家の娘、イアル姫と、マスクマンのリーダー、
レッドマスクことタケルが恋仲であるという物語のもうひとつの伏線が
ドラマツルギーの柱にされている。戦隊版ロミオとジュリエット、と
呼ばれる所以だが恋愛描写に関してはさほど掘り下げられた訳でなく、
あくまでヒーロー像演出の一環として実験的に取り入れられた、という
感じが拭えない。そもそもレッドマスクばかり目立ってしまうこの設定は
アンバランスで結局要所要所でクローズアップされるにとどまっている。
この反省として(笑)のちの「戦うトレンディドラマ」ジェットマンで
戦隊内四角関係という暴走状態を生み出すのだが・・・
イアル姫はチューブに連れ戻されたあと物語終盤まで氷漬け。
ほとんどこの姿。

マスクマンの5人はアキラなど一回り年下な感じで、女性二人、
年もやや離れている感じだが仲が良くチームワークが良いのが特徴。
タケル以外他のメンバーが主役になった回の話の方が私的には好み。

タケルがどうしてもイアル姫、チューブとの中心ストーリーに絡むため
女性ゲストが登場する話はブラックマスク、ケンタがメインの場合が多い。
相原勇(クレジットは小原靖子)登場第11話。チューブからの脱走者、という
ストーリーでもうひとり、キカイダー伴直哉氏も登場した。
アイドルの追っかけもする。しかしそのアイドルはチューブの…という
筋立て。純粋そうなキャラなのでいじりやすいのか。(13話)
やはりチューブからの地底獣が化けた美女と絡むのだが
純粋なキャラが活きて朧げな印象的な話となっている。(26話)

ブルーマスクのアキラ役の広田一成氏は最年少ながら
中国拳法の選手で日本代表になるほどの実力者で、マスクマンが前後の
戦隊と比べて素面の役者のアクションが充実しているのは
彼が牽引している部分もある。
地底帝国チューブに落ちて奴隷とされている地底人たちを一人で
解放したことも。
女性メンバーのイエローマスクのハルカ。なぜか忍者の子孫という設定。
でなぜかダンスが大好き。なので主役回は珍エピソードになってしまう。
分身の術が使える。何だか一人設定が違うような…

ピンクマスク、モモコ。太極拳の達人だそうだ。他のメンバーほど
激しいアクションシーンは無かった気が・・・ただ頑張った回は
1号ロボ、グレートファイブをチューブに奪われるという失態につながる。

マスクマン、というか光戦隊という組織はかなり巨大な民間グループのようだ。
「姿レーシングチーム」代表の姿三十郎長官、彼はオーラパワーの研究者であり
拳法家。その能力もおそらくマスクマンのメンバー個々より上な気がするが
チューブの侵攻を察知してあの巨大な合体ロボット(戦隊初の5機合体!)
グレートファイブを建造し特殊兵器を開発するなどよっぽどの実力者である。

演じた谷隼人氏は当時「風雲!たけし城」にて一般参加者を指揮して毎週
たけし城を攻略していた、実に多忙だったと思われる。
グレートファイブをチューブに奪還され、姿長官は
開発されながらも暴走し姿を消したギャラクシーロボを
2号ロボとするべく探し出した。トレーラーから変形。
意志を持つロボで暴走する自我を抑えるため姿を消していたそうだ。
戦いのあとに合掌するポーズが印象的。
光戦隊スタッフが開発したり研究したりするシーンがたまに出てくる。
これはジェットカノン開発の時(29話)次期戦隊のライブマンで
イエローライオンとなる西村和彦氏が開発スタッフ役で登場している。
印象的な話としてはマスクマンのプロトタイプ、X1マスクの登場回(39話)。
試作品が出てくるなんてこれまでなかったことだ。
これを船隊初の追加戦士と位置づけている解説もあるけど。

平和だった地底世界を王家を失脚させて制圧し地底王として
地底帝国チューブ君臨するゼーバ。その声は星一徹加藤精三氏。
その正体はイガム家との因縁深いリーサルドグラーで、
まさに呪われた地底帝国の怨念そのものであった。
王家の後継たる兄妹(姉妹)であるイガム王子とイアル姫。
男装のイガム王子はイガム家再興のためゼーバに従い地上への侵攻を指揮する。
イアル姫と恋仲になってしまったタケルを憎み直接対決も多い。
イガム王子=イアル姫を一人二役で演じ切った浅見美那さんの奮闘が
マスクマンを支えたといってもよい。ただ男装はバレバレだと思うが。
もう一人指揮官クラスのバラバがいるがそれぞれに従う
地底忍というのがおり、先鋒として作戦を行うことが多い。
バラバ付きの地底忍、オヨブーが非常に目立つ。誇り高い赤鬼?

中盤から登場する地底の盗賊騎士キロス。
戦隊シリーズではお馴染みになりつつある第三勢力的キャラクターだが
欲しいものは何でも手に入れるジャイアン的性格でけっこう面倒臭い、じゃない
展開を引っ掻き回す。何が欲しいのかというと氷漬けのイアル姫。
つまりタケルの恋敵(自称)。鎖鎌の使い手というのがポイント高し。

エネルギー獣オケラッパ。
地底獣を巨大化させる便利なキャラクター。で、それだけ。
呼ばれて出てきて一仕事して、「やれやれ」と帰ってゆく。最終回以外全話で。
本当にそれだけである。チェンジマンでキョダーイという全く
同じポジションのキャラがいる。大きくならなきゃスーパー戦隊じゃない。

タケルとイアル姫は最終的に悲恋に終わる。
死に別れる訳ではないがチューブの崩壊を描く終盤の展開は
非常に濃い。イガム王子の処遇といい、ハッピーエンドとは
云い難い不思議な後味を残す。
オーラパワーの描写、拳法アクションなど、のちのダイレンジャーのほうが
充実しているし、それこそ恋愛物語の顛末はジェットマンのどろどろさ加減が
あんまりなせいで印象が薄まってしまった感もあるにはある。
忍者というモチーフも戦隊フォーマットでは初だと思う。
カクレンジャー〜ハリケンジャーへと受け継がれることになる。
車モチーフは作品のメインではないもののレッド専用バギーなど
印象的でターボレンジャーを経てカーレンジャーへと受け継がれる。
レーシングチームだった設定は初期で何度か触れられた程度で
バランスの悪い部分も目立つのだがそれを差し引いても魅力に溢れた
作品だ。姿長官の格好良さ。身体を張ったアクションシーンの連続。
生身の身体でも果敢に挑みつづけるメッセージ性がこの作品にはある。
この後の戦隊シリーズが引き継いだ要素があちこちに散見することに加え
穴埋めのような面白みの無い回がほとんどないのもよい。
マスクマンのスーツデザインもよいですね。
前後作とデザインチームがこの作品だけクレジットが違う。

それから最後に主題歌。
影山ヒロノブ氏が本来の名義で歌った最初のヒーロー主題歌、というのも
「電撃戦隊チェンジマン」では変名だったからだがエンディング曲も含め
してやったり、というべき名曲名唱であることを付け加えさせていただく。
主題画の力強さと神秘性を帯びたリフレイン、一度聴けば忘れないと思う。
エンディング曲の優しさに満ちたメッセージも然り。
常に相手を倒すことが力の目的ではない、ヒーロー番組が陥りがちな
力と正義の賛美から、この作品は距離を置くことに成功していると思うのだ。
そこが素敵だと、私は思う。

以上、長文おつきあいありがとうございました。
ここで使用した画像は全て東映に帰属するものです。
| 永井 Lee(lee-sewing) | 22:33 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
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Comment
マスクマンは観た事ないんですが、
Leeさんの解説読んでたら
引き込まれてしまいました

時代背景でお話も変わってくるようで面白いですねー (バブリーな文化意欲!)



Posted by: 片山ニク |at: 2013/01/25 10:48 PM
ニクさん
超雑文読んでくれてありがとうございます。
誤字もあるしお恥ずかしい。
昔のこうした番組で当時の風俗や街の映像がみれるのも楽しいものです。再発見というか。
Posted by: 管リ人 |at: 2013/01/25 11:34 PM








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