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魂のテックセッター 宇宙の騎士テッカマン
JUGEMテーマ:エンターテイメント

だいぶん久しぶりになってしまった。
このシリーズ(?)初めてアニメ番組について書きます。

タツノコプロのハードアクションヒーロー路線の代表作
「科学忍者隊ガッチャマン」ですがリメイク実写映画、また1クールで
終わったものの新シリーズ「クラウズ」も放映された。
さて、タツノコに限らず旧名作アニメやヒーローのリメイク作が
つづきますが、現代の進んだ映像技術でやったらどうなる?
という単純な期待感は常に、裏切られる、というかハズされてしまう。
中には新しい世界観や価値観を盛り込めた場合もあるのだが
正直旧作を超える魅力を放つことは少ない。
オリジナルを観た方がやはり面白いし、第一余計なものがない。
何が余計か、というと、設定や物語は言うに及ばず、
スポンサー、プロダクション、広告代理店、メーカー、
そして放送局の意向が本来の原作通りの作品化を曲げてしまう。
当時ももちろん無い訳ではないしそれが全て悪いわけではないし、
むしろそれが新たなアイディアや魅力に転化する場合もある。が、
今コンテンツ盤組制作は昔のように半年〜1年をじっくり、というのが難しい。
1クール、が基本で当たれば続投、続編へと展開しましょうか、という。
昔はせめて2クール(半年)だったのが。
太い本道、といえる人気アニメ、は今に限って言えば、無い。
ビッグコンテンツとなったタイトルのみが長期放映をダラダラつづけている。
ひとつの物語を大河ドラマ的にじっくり制作することが
なかなか難しくなっているご時世である。あのジブリでさえ自家制作体制を
放棄した。しかしてトライアルな精神が現場から失われなければ、
新たな人気作品はきっと生まれるはず。
クリエティブな表現を生み出す格好の地平はアニメであり、特撮映像である。
不況と高物価(もはやアベノミXXXは信用できない)に負けないでほしい。

前置きがまた長くなりましたが
私個人としては「ガッチャマン」よりもこの
「宇宙の騎士テッカマン」をリメイクしたらどうかと思っています。
当時、前置きにもありましたが1年間の放映を予定していたそうで
宇宙ヒーローアニメ、という分野に意欲的に取り組んだのだが
結果的にストーリー半ば、26話(2クール)で終了となった。
同時期、やはり宇宙戦記もの、スペースオペラという「宇宙戦艦ヤマト」
TV放映版は同じく26話で頓挫、同じ運命を辿ったという。
もちろん作品の魅力がなかったからではなく受け入れられるに
時期尚早であったことはその後の「ヤマト」が証明するのですが
同様に「テッカマン」も素晴らしいポテンシャルを有した作品だった。

1992年、設定やデザインを流用する形で全く違うストーリーで
「宇宙の騎士テッカマンブレード」が放映されましたが
リメイクではないものの「テッカマン」以上にハードな物語を
1年に渡ってジュウニブンに展開して語り草となっている。
これも名作ですが、徒にも角にも宇宙騎士、スペースナイツ、
テックセット、ペガスなど魅力的なアイディアが詰め込まれた
今でも実に面白いアニメーションです。



環境破壊が進み、もはや生物のいられる星としての寿命が3年となった
地球。その荒廃した「水と緑の星」地球を狙う宇宙悪党軍団ワルダスターの
侵攻に巻き込まれ、父を失った南城二が主人公。

ガッチャマン=大鷲の健で有名な森功至氏が声をあてているので
硬派な熱血系二枚目の印象があるが、その健と比べても
直情的、悪く言えば単細胞なタカ派キャラに設定されている。
そこがテッカマンのドラマ部分を象徴しており、父の仇として
全ての宇宙人を敵視していた彼の成長が骨幹にある。
テックセットシステムを活用し、テッカマンになれる素質を有する
強靭な肉体と精神力、スペースナイツの隊長でもある。



これがその苦悶の様子ゆえ語り草となったテックセットの瞬間。
毎度この苦痛に耐えながらテッカマンになろうというのであるから
やはりただ者ではない。



アンドロー梅田。
城二とあらゆる面で対照的な、準主役ともいえる人物、いや宇宙人。
声はあの山田康雄氏。ルパン三世以外のアニメの声優の仕事は
断っていたそうだがシナリオ、キャラクターを気に入って
受けたらしい。

ワルダスターに故郷の星を攻められ漂流した挙げ句
地球にたどり着いたサンノー星人だが、最初の登場時に、人間に擬態した後
成れの果ての地球の情景を見て「汚ねぇ‥‥」と吐き捨てるシーンは
シビレル。徹底した皮肉屋かつ本心を見せない性格のため
序盤はとにかく城二と衝突しまくる。

実際はワルダスターに対する怒りや情に脆いなどなかなか
複雑なキャラ。その後スペースナイツの一員となる。

サンノー星人の特殊能力はテレポートや透明化、サイコメトラーなど
万能といってもよく、テッカマン以上の活躍もある。


天地局長。宇宙開発センターの局長。
テックセットシステム、ペガスの作成者。ひろみの父。
声は内海賢二氏。「キャシャーン」での強烈な悪役、ブライキングボスから
打って変わって知性派のダンディな声を当てている。
私なんかは則巻千兵衛の印象が強いが。
終盤に物語の要であるリープ航法装置を完成させる。

天地ひろみ。城二の恋人。
美人で優しい割と地味なヒロイン、だがスペースナイツ内の人間関係
(要は城二とアンドロー)をとりもったり芯の強いところがある。
ムータンをかわいがる。他のキャラに比べ作画の乱れの余波を受けやすい。
かわいそうである。

ムータン
サンノー星のミュータントで偶然地球で同郷のアンドローと会うのだが
実は一番ものわかりの良いキャラ。強引にサンノー星へ帰ろうとした
アンドローを止めたりペガスを修理したり、特殊能力はアンドロー並み。
この子がいれば戦闘以外の大概のことはどうにかなる気がするが。

ペガス。
天地局長により作られた、テッカマンになるための
テックセットシステムを内蔵したロボット。人工知能をもち
うたったり冗談をいうこともある。テッカマンを乗せて
宇宙空間などを飛行することが可能。実はテッカマン内で
最も人気のあるキャラは彼である。

その愛らしさゆえ
「テッカマンブレード」でもほとんど変わらない設定で登場。
そこではアイルランド民謡の"Danny boy"を歌っていた。



ブルーアース号。
タツノコプロらしいポップなシルエットの宇宙船。
あの大河原邦男氏のデザイン。これまた「ブレード」にて
再び登場。


ランボス。
ワルダスターの団長。小物なのか大物なのか分からない、
立ち位置としてはベルク・カッツェを彷彿とさせるキャラ。

「ドクロベエ」滝口順平氏が声を当てているので
結構滑稽なリアクションが多い。変装が得意。


ドブライ。
ワルダスターの首領。宇宙帝王という称号がある。
実態がこの姿なのか、よく分からない。打ち切りのため
ドブライとの直接対決は描かれていない。
征服した星の住人を配下に使っているが割と
星人同士部下同士の軋轢などに手を焼いている感がある。


テッカマンの戦闘シーンは特に宇宙空間での
慣性による動きを表現したり、非情に凝っている。

ペガスを馬のように見立て、テックランサーや鞭など
独創的な演出が白眉。加えてワルダスターの戦闘機や
メカとの肉弾戦が毎度の見せ場であった。

テックセットは37分33秒という限界があり、さらに
テックセットすればするほど肉体へのダメージは蓄積、
当人の寿命を縮めるという。不完全なシステムである。

打ち切りとなったため、魅力的なライバルなどの創出に
到らなかったのが不幸と言えるのだが、予定では城二の父は
ワルダスターの手中で生きており、悪のテッカマンとして
父子対決などが用意されていたそうだ。

こうした幻の展開など幾つもの要素を再構成した
「テッカマンブレード」もお薦めである。


再終話は天地局長がワルダスターの宇宙船の残骸を研究して
ついにリーブ航法装置を完成させ、ブルーアース号に搭載。
スペースナイツの面々が人類の移住先としての第二の地球を
探す旅に出る。それをワルダスターが阻止しようとする。
そこへ単身突っ込んでゆくテッカマンの雄叫び、で締めくくられる。

テッカマンの掲示した孤独な宇宙空間での戦い、哀しみは
主題歌、エンディングでも語られている。広大な宇宙を前に
人間はなす術も無く、どこへ向かうこともできてはいない。
一種のフロンティア精神とともに、個人の復讐譚、宇宙人同士の
交流、反目、軋轢…
第二の地球を見つけられたとして、それは人類も
ワルダスターと変わらない侵略なのではないか?

やはり子供にはハードすぎたのかもしれない。
| 永井 Lee(lee-sewing) | 00:26 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
光陰矢の如し
JUGEMテーマ:音楽

イエスのベーシスト、Chris Squireの訃報が駆け巡った今週の始め。

今年に入って最もショックなニュースです。

本当にあらゆる分野の我々世代の先達ともいうべき
尊敬と憧れ、畏怖すらおぼえる人々が次々にこの世界から
旅立ってしまう。それは摂理であり仕方のないこと。

でもこの寂しさは何としょう。

私が音楽から離れられないトンチキな人生を送るきっかけを作ったのは

高校生の時分に、いわゆるProgressive rockの大看板

Peter Gabriel 及び Genesis

Yes

に出会ってしまったことが大きい。

Peterは"So"が大ヒットしたあとにバイオ本が出て邦訳本を
大学受験そっちのけで読みふけり、進路アンケートの
尊敬する人、の欄に「ピーター・ガブリエル」と書く程であった。

Yes、も現役バンドであった。
"Big Generator"リリース後に来日したのが当時の音楽誌でも
特集記事が組まれていたが、お茶の間のテレビにも登場したのである。
記憶が定かではないが「夜のヒットスタジオ」辺りかと思う。
"Rythym of love"を演ったと思う。

今思えばルックス的にもいけてた気がする、大ベテランにも拘らず。
その後の紆余曲折はファンなら知っている通り、大看板のもと
歴代メンバーが入り乱れ若い才能をところどころで加えつつも
あくまで現役バンドとして存続してきた。
その大黒柱であり表看板のJon Andersonも離脱するなか最初から最後まで
「イエス」だったのがChrisだった。
もはや、「イエス」は歩みを止めるのも仕方あるまい、実は現在
Chris抜きのツアー中ではあるけれども。

私が一番好きなイエスのアルバムは"Relayer"、最初に聴いた時から変わらない。
あの衝撃、たとい20数分の曲だろうとも、あのアルバムには怒りがあった。
パンクだったのだ。超絶技巧を駆使した、暴力だったのだ。
最後に、最果てに仄かな安堵の地平が見えたかのようではあったが。

形而上的、高踏的、人間の限りなき進歩と精神性を追求するかの如き
イエス・サウンドにおいて地を這うストラグルな血をたぎらせる
硬質なベースサウンドで現実的な説得力を与えつづけてきたChrisの存在が

ポッカリと空いてしまった。

合掌。本当にこれまで、おつかれさまでした。泣くよ今夜は。


リッケンバッカー・ベースといえばChris、Bass soloを堪能しておくれ。
Yesの楽曲"Tomato"収録の"On the silent wings of freedom"の一部。

 
R.I.P. Christopher Russel Edward Squire 1948.3.4〜2015.6.27
| 永井 Lee(lee-sewing) | 00:04 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
質量不変の法則は!?トリプルファイター
JUGEMテーマ:エンターテイメント 

栄光の円谷TV特撮ドラマが昨年から続々と
初物カタログも含めてソフト化が進んでおりますが
「怪奇大作戦」に続いての「非変身ヒーロー」番組、
「緊急指令10-4・10-10」もソフト化されました。スバラシイ!
そこで、今回は数ある円谷ヒーローでも異色中の異色、
「トリプルファイター」について書いてみようと思う。

72年に放送された「トリプルファイター」。

放送時間、帯ですが、月曜日から金曜日まで、毎日10分粋、
つまり1週間トータルで50分粋という帯での放送で、
その1週間分で1話。全26話、という放送形態であった。
週1回30分の枠、というのが通常の番組の形態ですから
それよりも20分も1話の尺が長い。ということでフンダンに
立ち回りやカーチェイスのシーンを盛り込み、主役の早瀬三兄妹の
会話のやりとり、それぞれの見せ場も過不足無く入っている。
毎エピソード、きちんと金曜日にクライマックスがくるように、
つまり合体形態のトリプルファイターは前の曜日には登場しない
(後半は不文律は破られる)など、放送形態を逆手に取っての演出もみられた。

早瀬三兄妹は長男哲夫(グリーンファイター)
次男勇二(レッドファイター)
末っ子のユリ(オレンジファイター)

勇二役の小野川公三郎やユリ役の笛真弓は当時の他ドラマ作品への
出演も多いのでご存知の方も多いと思う。
基本的にずっとこのスーツを着ており、順番に休暇は3時間与えられ
私服に着替えて外出するシーンがある。過酷な労働状況といえる。
銀河連邦は花形であるウルトラ兄弟=警備隊の影でSATのように
休みもろくに取らず地を駆けずり回っている彼らのような輩がいるのだ。
とにかく変身前も生身のアクションシーンが多い。低予算な分
身体を張っての番組作り、10分枠のためスピーディーな編集も相まって
テンポのよいこうしたアクションシーンが毎回の見所。
(車のボンネットに飛びのって暴れ回るユリ)

その生活をユリが疑問に思う話が後半出てきたりするがとても兄妹仲は
よい。哲にぃは冷静で弟妹思いである。しかもIQ1万・・・
彼らが変身するファイターの姿はステレオタイプな宇宙人のそれに近い。
神秘のヒーロー、ウルトラマンに比べユーモラスな宇宙人ビジュアルである。
巨大化しないこともあるがとにかく地道にデビラたちと格闘しつづける。
ファイター三人、単なる色違いではなくちょっとづつ人相や体型が違う。
バランスがとれているのがレッド。背があれだが。
ひょろっとしてコバルト(わかるかな?)みたいなのがグリーン。
オレンジは小柄で丸みを帯びたデザイン。
3人が合体変身して登場するトリプルファイター。
3人分の体積はいずこ?ともかくクライマックスとなる週末の回で
やっと登場する。「週末ヒロイン」ならぬ「週末ヒーロー」な訳だ。

哲にぃが設計したSATカー、SATバギー、SATサイクルにそれぞれ搭乗。
これがなかなかデザインセンスで人気が高い。
(哲にぃとSATサイクル2号。無類のバイク好きらしい。)

デーモンカーのあれなのと並べば余計にかっこいいぞ。
デーモンカー味わい深いけど。
(ずらりと並んだデーモンカー、手前の数台以外は低予算故xxx。)

敵となる地球侵略者、デビル星人は当然宇宙人であるが
その移動手段はデーモンカーという、国産車スバル360に
黒い毛皮(!?)加工を施した代物。DVD-BOXの解説によると
10台程(8台説もある)中古車を購入して植毛(!?)して使い回したそう。
そういえば滅多に爆発炎上シーンはなかったな。その代わり
編隊走行よろしくカーアクションの見せ場があった。
なかなか少ない手札を駆使して見応えのあるシーンを撮っている。
とにかく黒がドレスコードらしく、画面上のコントラストが効いている。
各作戦の隊長格、戦闘員のデビラも含めてみ〜んな黒タイツ。
つまり首から下は見分けがつかない。次第にデビル星人側の因縁めいた
ドラマも挿入されるようになり、基本的に口がきけなかったデビラたちも
なにがしか主張する場面も見受けられた。見分けがつかないけど。
(これがデビル星人の頭領なのか、指令を発しつづける球体である。)

そして早瀬三兄妹の所属するSATは
デビル星人にかつて侵略された星の生き残りによって
結成された全宇宙的組織である。つまりこれは
地球を舞台とした宇宙人同士の抗争、なのである。
ちなみに地球側の防衛組織が動いたエピソードは無い。
地球人が巻き込まれる話はあるにはあるが、一応世界規模で
侵略行為は行われていたようだが地球人側がどれだけ把握していたのか?
ちなみにSATの地球本部はパリにある。日本支部は早瀬三兄妹のみ。
あ、あとロボットのブルコン。
ブルコン。影の主役。なんとも前時代的なロボットデザインだが
実に人間味に溢れた名ロボットである。
律儀かつ気配りができ、時に冗談をいい、兄妹の喧嘩も仲裁する。
目的地の座標軸を独自のSATポイントで表すのだがよくそれを
読み上げる描写がある。
哲にぃがつくったので計算能力は哲にぃに叶わない。哲夫はIQ1万以上という
とんでもない頭脳の持ち主なのだ。
こんな冗談の通じるロボットを
つくるのも良すぎる頭のせいなのだろう。ブルコン主役で番組を作りたい。

あつし。少年。日本人の少年。なぜかSAT支部に出入りし、
時にデビラたちと互角に渡り合う。
ブルコンと仲良し。とんぼ返りが得意。
早瀬三兄妹の地球人の友達は基本的に彼だけのようだ。
勇二は女性ゲストと絡むことが多いが。

他には作戦に巻き込まれる人間、または宇宙人(たまにSAT隊員)役で
ゲスト俳優が登場する。中でも有名なのが孤独のケリーこと
ケリー岩崎。
演じた加藤寿氏はシルバー仮面やアイアンキングの
スーツアクターとしても知られているアクション俳優。

役者さんたちは実に真面目に身体を張って演じており、
それがこの低予算かつ短い尺の帯番組を芳醇なものにしている。
三兄妹は立ち回りもかなりの頻度でこなしており、
番組も後半になってゆくとスーツやメットが傷だらけなのが分かる。
(お花畑で乱闘するユリ)

そんな手作り感が透けてみえる、のは特撮として褒められたことではない、
という向きもあろう。吊った糸が見えたり落下シーンはいかにも人形だったり、
というのを笑いたかったら笑えばよいが、「トリプルファイター」は断じて
お茶を濁したような画面づくりはしていない。できないことは見せない。
そのかわり生身の部分で可能な限り表現し尽くしている。


代表的なデビル星人を紹介しよう。

最初に登場したダークマン。
名前の割りに猪突猛進なだけ。ネーミングとのギャップが…

三つ目怪人ゲラン。

アパッシュ博士。相当頭がいいらしいが。

怪人ブルーコンドル。惑星キラーと異名をとるほどの強敵なのだが。

ホラーアイ。ほーらこわいぞほーらほーら(笑)

怪人バービーブー。トリプルの怪人では特に有名らしい。
その理由は…のちほど。

ジャガード。麗しい人間の女性に擬態する。

ビーグル。さすがにアップは恐い。

怪人テンパージョー。
「我が友バービーブー」の仇を討ちにきた義に厚い怪人。
とにかく二言目には「我が友バービーブー」。
なんて愛されてるんだバービーブーは。


最終話で幾多の惑星を征服してきたデビル星人だが
たった3人のファイターによって地球征服は失敗させられる。

勝利の笑みを見せる三人、しかし休む間もなく
別の惑星の危機を救うようSAT本部から要請され、
地球を後にする。見送るのはあつし、ただひとり…。

少なくとも、清々しいヒーローものとしての
手応えは画面から伝わるだろうし、ウルトラマンのような
巨大ヒーローにはない、等身大の身体を張った画面作りが
全編に漲る。まさに人間力で作り上げた番組といえるであろう。
あくまで10分番組、というフォーマットを意識して鑑賞すると
その構成や演出の妙に気づいて感慨深く観ることができる。
低予算のグダグダ感、ユルさを良しとする今のテレビ界の風潮、
あらかじめそんなところを狙って何になろうか?と私は言いたい。
それは状況に抗い全力で、真面目に取り組んだからこそ
勝ち得るものなのだ。あえて言う。これはB級作品ではない、と。


| 永井 Lee(lee-sewing) | 21:34 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
レイ・ハリーハウゼンの格調高きSFXの世界
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ヒーローもの、てわけじゃないんですが。

今月初めに残念ながら亡くなったアメリカの
映画作家、レイ・ハリーハウゼン氏。
彼が作り上げた特撮映像でも有名なのがモデル・アニメーション。
一目でそれと分かる実にリアルな質感の異形のクリーチャーが
コマ撮影、つまりアニメによって生きているかのように動き、
暴れ、実写の俳優たちと立ち回りを演じる。
もちろん合成技術も駆使されており、滑らかな動きであたかも
同時に演技しているかのような映像は当時のインパクトも
去ることながらCG技術が当たり前の今ではまさにアンティークの
趣き、自然高級素材のみを使用した格調高い映像といえる。
代表作「シンドバッド三部作」「タイタンの戦い」など
歴史上、神話の題材、もしくはSF冒険小説の映像化に終始し
オリジナルストーリーはないものの、氏が実体化させた
神話上の怪物、動物たちの造形美も素晴らしい。

「シンドバッド黄金の航海」での語り種となった
カーリー神との戦いのシーン。

「タイタン」ラスボスのメドゥーサとの御近影でした。
ご冥福をお祈りいたします。素晴らしい作品をありがとう。

今は日本のモデルアニメーションの傑作「ボーンフリー」
再DVD化が待ち遠しいです。



さて今日のサウンド。
「超時空世紀オーガス」

ケーシー・ランキン氏のソロ名義での唯一歌声が聴ける
この作品、そのOP&EDのおかげで私の中では
永遠の名作である。時空混乱をベースにした実にSFらしい
設定と世界観があるにもかかわらず割と惚れた惚れない
すったもんだに終始した感のある本編。
日曜日の昼下がりという放映時間に関わらず
のっけからベッドシーンだったりするのだが
このオープニング曲のワクワク感、透明感、ムードは
独特でやっぱりいいアニメなのである。

前作品「超時空要塞マクロス」の人気に埋もれてしまったが
その後OVAで続編が作られた。

一見何のつながりもないファンタジー系のアニメと思いきや
終盤でオリジナルの世界とのつながりが一気に明かされ
あっという間に世界は修復に向かう。
なかなか面白い作品でよいがそのOP(後半別の曲に変わってしまうが)
をヒカシューが担当、巻上公一氏の声明のような朗々たる歌唱が
混乱世界を音像化しているようでこれまた本編を引き立てている。

という2曲でありました。
しかしヒカシューかっこいい。ゲルニカと並んで
日本のハイブリッド・ニューウェーヴの象徴といおう。
| 永井 Lee(lee-sewing) | 01:11 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
戦隊シリーズの分水嶺「光戦隊マスクマン」
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久々に特撮ヒーロー談義といきましょう。

2013年度は「獣電戦隊キョウリュウジャー」となることが
発表されている東映スーパー戦隊シリーズ。その26年前、
1987年に放送されたのがこの「光戦隊マスクマン」だ。
善くも悪くも数々の新機軸が込められたツッコミどころ満載の
魅力に溢れた作品であることを始めに明言しますが、
1987年というバブル崩壊、また冷戦の終焉を目前にした
飽和した時代状況が観て取れる、といったら言い過ぎなのか。
ゴレンジャー〜バトルフィーバーJの初期戦隊が
国家防衛組織、それに属するプロフェッショナルが結集した
精鋭5人によるチームであったのが、民間の研究組織だったり
宇宙から、もしくはある者から特殊な力を授かった人間が
集められただけだったり、と設定は次第に自由度を帯びてきた
訳ですが、悪く言えばシリーズ化によるマンネリズムを避けるための
あれこれと理由付けと個性作りの苦労が窺える。
さりとて通算11作目(もちろんゴレンジャーを1作目として、ですよ)の
マスクマン(このネーミングはやや危惧せざるを得ませんが)の頃は
まだまだ安定感のある視聴率を保持していましたし勢いが持続していた
末期といえましょう。このあと戦隊も冬の時代が到来しますが…。

何といってもマスクマンの力の根源が、人間が本来持っている
オーラパワー。それを鍛えることで強化し戦士へと変化できる。
オーラパワーというのは気功のことであり、スーツやアイテムの力でなく
人間自身の隠された力、というのが当時の文化的兆候、を感じさせる。
ネイチャーブーム、オカルト、ニューエイジ的な切り口。
ピンチになると「メディテーション!」と印を結び座禅を組むシーンが
よく見られた。クライマックスほどこのシーンになりスピード感が削がれて
ずっこける気がするがこれがマスクマンの味である。

地上の人間社会を征服せんと侵攻を開始した地底帝国チューブ。
彼らもまた、「地上とは袂をわかち別の進化を辿った人間」と説明されている。
全てが人間界の事象として物語がつくられているのだ。
高度な科学力を持った犯罪組織、という設定の多い戦隊ヒーローでは
珍しいものではないのだが全くの異文化・価値観を持った人間が相手である、
というのはポイントだと思う。ダイナマンのジャシンカ帝国はやはり地底からの
侵略だったが「有尾人」という別の種族だったしアクマイザー3の「アクマ族」も
半分機械化した地底人類、とやや毛色が違う。
チャネリングのような宇宙を含めたあらゆる外界とつながろうという
バブリーな文化意欲、がここにも影を落としている(笑)気がする。
そしてその地底帝国の名家の娘、イアル姫と、マスクマンのリーダー、
レッドマスクことタケルが恋仲であるという物語のもうひとつの伏線が
ドラマツルギーの柱にされている。戦隊版ロミオとジュリエット、と
呼ばれる所以だが恋愛描写に関してはさほど掘り下げられた訳でなく、
あくまでヒーロー像演出の一環として実験的に取り入れられた、という
感じが拭えない。そもそもレッドマスクばかり目立ってしまうこの設定は
アンバランスで結局要所要所でクローズアップされるにとどまっている。
この反省として(笑)のちの「戦うトレンディドラマ」ジェットマンで
戦隊内四角関係という暴走状態を生み出すのだが・・・
イアル姫はチューブに連れ戻されたあと物語終盤まで氷漬け。
ほとんどこの姿。

マスクマンの5人はアキラなど一回り年下な感じで、女性二人、
年もやや離れている感じだが仲が良くチームワークが良いのが特徴。
タケル以外他のメンバーが主役になった回の話の方が私的には好み。

タケルがどうしてもイアル姫、チューブとの中心ストーリーに絡むため
女性ゲストが登場する話はブラックマスク、ケンタがメインの場合が多い。
相原勇(クレジットは小原靖子)登場第11話。チューブからの脱走者、という
ストーリーでもうひとり、キカイダー伴直哉氏も登場した。
アイドルの追っかけもする。しかしそのアイドルはチューブの…という
筋立て。純粋そうなキャラなのでいじりやすいのか。(13話)
やはりチューブからの地底獣が化けた美女と絡むのだが
純粋なキャラが活きて朧げな印象的な話となっている。(26話)

ブルーマスクのアキラ役の広田一成氏は最年少ながら
中国拳法の選手で日本代表になるほどの実力者で、マスクマンが前後の
戦隊と比べて素面の役者のアクションが充実しているのは
彼が牽引している部分もある。
地底帝国チューブに落ちて奴隷とされている地底人たちを一人で
解放したことも。
女性メンバーのイエローマスクのハルカ。なぜか忍者の子孫という設定。
でなぜかダンスが大好き。なので主役回は珍エピソードになってしまう。
分身の術が使える。何だか一人設定が違うような…

ピンクマスク、モモコ。太極拳の達人だそうだ。他のメンバーほど
激しいアクションシーンは無かった気が・・・ただ頑張った回は
1号ロボ、グレートファイブをチューブに奪われるという失態につながる。

マスクマン、というか光戦隊という組織はかなり巨大な民間グループのようだ。
「姿レーシングチーム」代表の姿三十郎長官、彼はオーラパワーの研究者であり
拳法家。その能力もおそらくマスクマンのメンバー個々より上な気がするが
チューブの侵攻を察知してあの巨大な合体ロボット(戦隊初の5機合体!)
グレートファイブを建造し特殊兵器を開発するなどよっぽどの実力者である。

演じた谷隼人氏は当時「風雲!たけし城」にて一般参加者を指揮して毎週
たけし城を攻略していた、実に多忙だったと思われる。
グレートファイブをチューブに奪還され、姿長官は
開発されながらも暴走し姿を消したギャラクシーロボを
2号ロボとするべく探し出した。トレーラーから変形。
意志を持つロボで暴走する自我を抑えるため姿を消していたそうだ。
戦いのあとに合掌するポーズが印象的。
光戦隊スタッフが開発したり研究したりするシーンがたまに出てくる。
これはジェットカノン開発の時(29話)次期戦隊のライブマンで
イエローライオンとなる西村和彦氏が開発スタッフ役で登場している。
印象的な話としてはマスクマンのプロトタイプ、X1マスクの登場回(39話)。
試作品が出てくるなんてこれまでなかったことだ。
これを船隊初の追加戦士と位置づけている解説もあるけど。

平和だった地底世界を王家を失脚させて制圧し地底王として
地底帝国チューブ君臨するゼーバ。その声は星一徹加藤精三氏。
その正体はイガム家との因縁深いリーサルドグラーで、
まさに呪われた地底帝国の怨念そのものであった。
王家の後継たる兄妹(姉妹)であるイガム王子とイアル姫。
男装のイガム王子はイガム家再興のためゼーバに従い地上への侵攻を指揮する。
イアル姫と恋仲になってしまったタケルを憎み直接対決も多い。
イガム王子=イアル姫を一人二役で演じ切った浅見美那さんの奮闘が
マスクマンを支えたといってもよい。ただ男装はバレバレだと思うが。
もう一人指揮官クラスのバラバがいるがそれぞれに従う
地底忍というのがおり、先鋒として作戦を行うことが多い。
バラバ付きの地底忍、オヨブーが非常に目立つ。誇り高い赤鬼?

中盤から登場する地底の盗賊騎士キロス。
戦隊シリーズではお馴染みになりつつある第三勢力的キャラクターだが
欲しいものは何でも手に入れるジャイアン的性格でけっこう面倒臭い、じゃない
展開を引っ掻き回す。何が欲しいのかというと氷漬けのイアル姫。
つまりタケルの恋敵(自称)。鎖鎌の使い手というのがポイント高し。

エネルギー獣オケラッパ。
地底獣を巨大化させる便利なキャラクター。で、それだけ。
呼ばれて出てきて一仕事して、「やれやれ」と帰ってゆく。最終回以外全話で。
本当にそれだけである。チェンジマンでキョダーイという全く
同じポジションのキャラがいる。大きくならなきゃスーパー戦隊じゃない。

タケルとイアル姫は最終的に悲恋に終わる。
死に別れる訳ではないがチューブの崩壊を描く終盤の展開は
非常に濃い。イガム王子の処遇といい、ハッピーエンドとは
云い難い不思議な後味を残す。
オーラパワーの描写、拳法アクションなど、のちのダイレンジャーのほうが
充実しているし、それこそ恋愛物語の顛末はジェットマンのどろどろさ加減が
あんまりなせいで印象が薄まってしまった感もあるにはある。
忍者というモチーフも戦隊フォーマットでは初だと思う。
カクレンジャー〜ハリケンジャーへと受け継がれることになる。
車モチーフは作品のメインではないもののレッド専用バギーなど
印象的でターボレンジャーを経てカーレンジャーへと受け継がれる。
レーシングチームだった設定は初期で何度か触れられた程度で
バランスの悪い部分も目立つのだがそれを差し引いても魅力に溢れた
作品だ。姿長官の格好良さ。身体を張ったアクションシーンの連続。
生身の身体でも果敢に挑みつづけるメッセージ性がこの作品にはある。
この後の戦隊シリーズが引き継いだ要素があちこちに散見することに加え
穴埋めのような面白みの無い回がほとんどないのもよい。
マスクマンのスーツデザインもよいですね。
前後作とデザインチームがこの作品だけクレジットが違う。

それから最後に主題歌。
影山ヒロノブ氏が本来の名義で歌った最初のヒーロー主題歌、というのも
「電撃戦隊チェンジマン」では変名だったからだがエンディング曲も含め
してやったり、というべき名曲名唱であることを付け加えさせていただく。
主題画の力強さと神秘性を帯びたリフレイン、一度聴けば忘れないと思う。
エンディング曲の優しさに満ちたメッセージも然り。
常に相手を倒すことが力の目的ではない、ヒーロー番組が陥りがちな
力と正義の賛美から、この作品は距離を置くことに成功していると思うのだ。
そこが素敵だと、私は思う。

以上、長文おつきあいありがとうございました。
ここで使用した画像は全て東映に帰属するものです。
| 永井 Lee(lee-sewing) | 22:33 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
特撮封印作品は夢物語か
JUGEMテーマ:エンターテイメント 

東京でも雪が積もりました。

夕刻からは雨に変わりましたから
明日の朝はさほどひどく凍結とかにはならないかも知れませんが

一面の雪景色になってちょっとびっくり。

昨日はLJ☆Tのひみつ特訓のため小田原のティンカン氏の工房へ
行ってましたがよい天気で助かった。
その後小田原アフロ・エスノつながりのみなさんの新年会にお邪魔〜

小田原では2/9にライブイベントをやります。その宣伝もばっちりしました。


さて。

私が特撮ヒーロー作品などにずっぽりとはまり込むきっかけとなった
ルポルタージュ作品「封印作品の謎」続編の「封印作品の謎2」。

文庫版(「謎2」は「封印作品の闇」にタイトル変更)が出ているのは
知っていたのですが加筆、図版追加もされているというのを知って
最近2冊購入しました。

筆者の安藤健二氏は今はニコニコ動画勤務だとか。
日本におけるドラマ、漫画、またはゲームなどで
明確な理由がないまま再放映、ソフト化一切されなくなった
いくつかの「封印作品」の封印に至る経緯や理由を探った非常に面白い
ルポで、非常に有名な「キャンディ・キャンディ」「オバQ」などは
もちろん興味深いがカルト作品として記憶されるものも取り上げられている。
昭和文化史の一断面でもあり世相をおのずと反映している経緯なども
窺い知れて面白いのだ。取材は難航した件が多く明確な真相に辿り着いた
ものは少ないものの関係者内外でタブー化しているそうした「封印作品」の
存在こそが驚きであり、初めて読んだ時は衝撃でしたね。

特撮映像好きならばつとに有名な「ウルトラセブン」12話、「怪奇大作戦」24話、
昨年「怪奇大作戦」のDVD再パッケージが発売されまして私も買いましたが
24話は欠番です、の表記だけでやはり未収録。
それに対する落胆の声はやはり大きく、だったらなぜ再発したのか、と
販売元、制作者への批判も出てました。24話が無ければ「怪奇大作戦」は
面白さ半減、とまで言う人もいるのです。
そもそもの放映した内容などはこの本をご覧になれば大体分かるので
割愛します。その映像が確かに特定の方を傷つける可能性が無いとは言えない。
ウルトラセブン12話はより子供向け番組としてのデフォルメがあるため
問題を分かりにくくしている側面がある。
怪奇大作戦24話はむしろ直球でタブーに挑んだ作品であり、より賛否を呼び込む
恐れは確かにあった。
もちろん封印されてしまうことは大変もったいないことですが
放映から30年以上経つ現在、タブーやクレームへの対処はさらに腫れ物に
さわるような過敏なものとなり、自由な表現などどこへやら、というぐらい
メディアから発せられるものは骨抜きな薄ぺらに成り下がった、
とは舌禍かも知れませんがそれゆえに封印が解かれることへの期待が
膨らむのかも知れません。
ただ私はことウルトラセブン怪奇大作戦に関していうならば
無理に封印を解くなかれ、と思います。ウルトラセブンは言うに及ばず、
「怪奇大作戦」には他に珠玉の25の物語があることを忘れてはならない。
どの話も24話に劣らない人間の闇や隙間を題材にした大人の童話です。
24話の前と後ろはあの実相寺監督作であり、特異な映像表現が別の意味で
ショッキングだったりします。

しかしメディアによる自主規制、とは何なのでしょうね?
価値判断の難しさを感じます。誰も傷つかない表現などありはしない。
脅迫や圧力に屈する場合は数あれど・・・

| 永井 Lee(lee-sewing) | 21:24 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「正義のシンボリズム コンドールマン」
JUGEMテーマ:エンターテイメント 

「コンドールマン」放送時のタイトルにはついていなかったが
正式には「正義のシンボル コンドールマン」なのだそう。1975年放送。
これまで「愛の戦士 レインボーマン」「光の戦士 ダイヤモンドアイ」と
川内康範氏原作三部作を書いてきたがこれで三作全て触れることができる。
感慨である(涙)個人的に一番好きなのがこのコンドールマン。
うっすらだがタイムリーで観れた記憶がある。といっても
ドラマの内容は全く覚えていない。
同じ理由で「仮面ライダーストロンガー」「ウルトラマンレオ」も
愛着がある。今では変身ヒーロー人気の黄昏を象徴する各作品だが
ドラマの中でもその辺が意識されてか漂う哀愁味も魅力なのだ。
苦悩するヒーロー、孤独になるヒーローというドラマの集大成といえる。

さて。
コンドールマンはそういった人間臭い哀愁味やケレン味は控えめである。
むしろ今更ながらに勧善懲悪のストレートなヒーロー像を構築してみせる。
制作が前二作の東宝から東映に変わったため、アクションやモンスター一族の
造型など、東映テレビヒーロー色が出ているにも拘らず、
そこにはより濃厚な川内イズムが漂っている。
全24話、打ち切りで終了といわれるものの視聴率は決して悪くなく、
後半のモンスター一族の作戦がやや早急になった感が残念。

何よりも、コンドールマンの設定そのものが実は大きなポイントである。
主人公コンドールマンは人間としての姿(あくまで化身した姿である)
に三矢一心という青年を借りている。その誕生秘話を第一話でじっくりやっている。
演じるのは佐藤仁哉(以下敬称略)。現在もドラマなどで活躍されているが
初主演で人間ではない鳥人を鋭い眼差しで演じ切った。コンドールマンの
マスクを被っての演技、アクションもかなりやっているそうだ。
レインボーマン、ダイヤモンドアイもそうしたヒーローの誕生(登場の因縁)を
丹念に描いている。一心青年は国際平和運動グループ「世界の旗」の一員で、
グループの事務局次長をモンスター一族の差し金の暗殺団に殺され、その組織を
追いかけてアメリカのネバダ州の山地にムー一族の秘跡を継承するタバ老人とともに
やってきたがその山中で古代ムー一族の守護神ドラゴンコンドルの卵を
守ろうとモンスター一族のサドラーに殺害される。

タバ老人を演じるのは井上昭文氏。レインボーマンのダイバダッタその人である。
ほとんど似たキャラクターのためご本人は混同されているそうだ。
その死を悼んだタバ老人が秘跡を行いドラゴンコンドルと
卵から孵化したゴールデンコンドル、一心の遺骨が合体し、誕生したのが
コンドールマン。つまり人間ではなく一種の古代の神性を持った鳥人。
見ての通りルチャリブレである。
精霊であるダイヤモンドアイに近いヒーローといえるが
生まれたての鳥人なため無敵とは云い難く、その後修行や特訓を経て
二段、三段変身などパワーアップしてゆくのが新機軸。
「コンドールアイ!」で人間に化身したモンスター一族の姿を
見破り元に戻す。テレビ越しに映ったゼニクレイジーにも有効。
ダイヤモンドアイの外道照身霊破光線と同じである。
日本征服に着手したモンスター一族を根絶すべく一心青年の姿を借りて
日本へやってくる。一心青年の人格や記憶は一切持たないため、
彼が三矢家の人々の前に姿を現したときに一心の死からまだ日が浅く
心の傷が癒えていない家族はそれぞれに動揺する。
トペ・スイシーダを決めようというコンドールマン。
アクションはJACが担当。全体にスピーディでキレが良い。


この描写がまた残酷だ。しかし一心青年ではないコンドールマン=一心を
受け入れるバイタリティあふれる三世代に渡る三矢家の面々はドラマの大きな柱だ。
義理人情に厚い父源太郎を演じるのは多々良純。
80年代以降ギャバンを始めヒーロー番組では頑固な好々爺を多く演じた名優。
母たみ子は星美智子、古き良き母親像を好演。
一心の姉、その姉の夫で義理の兄を「キカイダー01:イチロー」池田駿介。
取材記者として時に一心と協力してモンスター一族の悪事を探る。
その娘、まこと。演じるのは香山リカ。タカラのリカちゃん人形の
本名と同じ。多分イメージガール的なデビューをした子だった気がする。
イメージが合わない気がするものの元気いっぱいで可愛らしい。
ズバットや銀河対戦にもゲストで出演している。この子が割と
ドラマの中心になることが多く、後半はコンドールJr.を結成して
コンドールマンに協力したりする。少年ライダー隊ぽいがコンドールマンの羽を
所持している以外は町の清掃などの奉仕活動やモンスター一族の存在を
世間に知らしめる啓蒙活動など。結構マジである。
三矢食料品店の店員の石松(演:山田きよし)お人好しの巻き込まれ役で
コンドールJr.の子供たちにもからかわれたり、コメディリリーフだった。
一心の恋人だったさゆり。この人も一心コンドールマンを観て動揺するが
結局協力者に。劇中で弟を失う。演じた岡本茉莉は声優としても有名。
いなかっぺ大将のキクちゃん、ヤッターマン2号アイちゃんなど。
三矢一家は一心の意志を受け継いだであろうコンドールマンを受け入れ
協力するばかりかアパートまで世話する。一切身入りはないであろうコンドールマン。
ひたすらモンスター一族の影を追い、次第に表面化する悪事と立ち向かう。
次々と現れる強力なモンスター一族に対し生まれたての鳥人コンドールマンは
タバ老人に導かれ修業によって新たな能力を身につけてゆく。
とにかくひたすら邁進する。その心の安らぎが三矢家でありコンドールJr.であった。

マッハコンドル号はバットマンカーみたいでかっこよい。どこでどう手に入れたのか?
拝み渡りを披露しようというコンドールマン。いや・・・

だがしかし番組の魅力の大半を占めるのはモンスター一族である。
ニューヨークに本部を持つ人間の欲望から生まれた怪物組織。
その頂点にいるのがキングモンスター。分かりやすい。
順次「ハンガー作戦」(前半はほぼこの作戦のみ)
「デーモンスモッグ作戦」「マッドヘドロ作戦」などを
入れ替わり立ち替わりキャラクターの濃いモンスターが遂行しに日本に
やってくるのだが。彼らの立ち居振舞いやりとりどれもこれも
テンションが高くアッパーで面白い。生き生きとした彼らの姿は
独り無我夢中で奔走するコンドールマンよりも幸せそうである。意図なのか?
エンディングテーマはほとんど彼らへの讃歌である。
ちなみに仲間同士の敬礼は「ア〜ルマゲドン!」である。
マッドサイエンダー(演:花巻五郎)。全編に登場するモンスター一族の
頭脳。頭にネジが付いていて「頭によりをかけまして」とこれを自分で回す。
終盤に前線に赴く。実は機械人形。
「ハンガー作戦」に登場したのが:
コンドールマン誕生のきっかけとなったサドラー。
人間態は西沢利明。特撮では宇宙刑事シリーズのコム長官が有名。
味わい深い役者だが1話のみの登場で強力な印象を与える。
バーベQ。サドラーの食料買い占め作戦を引き継ぐが最後には豚の丸焼きに
なってしまう。のちに仇をとるため奥さんのマダム・バーベQが登場。
同じく丸焦げの最後を遂げる。

ダンガンマー。演じるキャプテンウルトラ中田博久はその後はヒーロー番組では
悪役俳優のイメージが強い。作戦の指揮よりも殺しの仕事をやらせろと
サタンガメツクに涙を流して訴える。コンドールマンを一時は追いつめた。
レッドバットン。(演:一の瀬玲奈)のちに姉のゲムスラーも登場。
女性の姿でいるときは美しいがモンスターに戻ると悪声悪語で台無しである。
女優さんも大変である。コンドールマンが鳥人なのに飛べないという
弱点を知り急襲するがコンドールマンが二段変身を会得した姿、
ゴールデンコンドルに倒された。
ゴキブラー。如何にもなキャラできれい好きでエスプリのレッドバットンは
嫌々コンビを組まされる。子供のお漏らしの臭いに喜ぶというとんでもない
描写がある。番組エンディングテーマを自分用に歌詞を変えて歌い踊った。
ダブルバット。ほぼ1話限りの登場ながら演じるのが潮健児なので
大威張りぶりが地獄大使並み。というか当時はキャプターの雷忍ぽい。
ドラキュラの血筋なのでそっちの仕事もこなす。

サタンガメツク。指揮官、だそうだ。人間態では悪徳商事の社長で
食糧の買い占めを進める。ここら辺の住民の逼迫し混乱する描写が
しっかりなされていることも川内原作らしい。怪物の姿でも銃弾の弾をケチったり
健啖家なのが多分弱点。腹に「奥の手」を隠し持っている。

ゼニクレイジー。日本の食料大臣というポストにいるもののどちらかというと
金の亡者というだけの下っ端でサラマンダーに政治献金をせびる。
エンディングテーマではほとんど主役なため一番目立っている。

コインマー(演:二見忠男)。同じく金好き、といってもコインだけが好き。
拷問器具を使いこなし口調はオカマというてんこもりのキャラ。

サラマンダー。演じるのは大月ウルフ。サタンガメツク死後日本での作戦を
指揮するためやってくる。リベンジを含めコンドールマンに
敗北がつづきキングモンスターに処刑される。
キングモンスターはその後本拠地に乗り込んだコンドールマンごと建物を爆破して
葬ろうとし、コンドールマンは生死不明に。ここまでが前半。
ムーンサルトプレスの機会を窺うコンドールマン。
ちなみに劇中でコンドールマンがプロレス技を披露したことはありません。

一見平和が訪れた日本。しかしコンドールマンは新たな黒い霧がその空に
かかる予兆を感じ取る。
後半。
オイルスネークが新たな指揮官となり、そして三大幹部が一斉にやってくる。
彼らは番組当初から登場しているので新鮮味には欠けるものの
よりダイレクトな環境汚染活動を広範囲におっ始めるため凄惨な被害が出る。
日本炎上作戦の中さゆりの弟が死ぬ。
犠牲者が増えてゆく。そうした描写もこと川内作品ではしっかりと
描かれることが多い。

三大幹部をまとめてご紹介。
ゴミゴン。人間態も浮浪者でそのまんまだが以外に手強い。

スモッグトン。なぜかメキシコ風。

ヘドロンガー。知能犯でいくつか陰湿な作戦を遂行。学習塾にて子供を
洗脳しようとした。

モンスター一族の猛攻にコンドールマンもギリギリまで追いつめられ、
一応日本へのモンスター一族の侵攻は食い止めたがキングモンスターは
倒せない。人間の欲望がある限りまた復活する、という余韻を残して
終わる。



人間の本性について性善説、性悪説というものがある。
中国思想における言葉だが世界の幾多の宗教、思想において
倫理観の根幹にある、と私は思う。

私は最近、残念ながら性悪説に傾きつつある。
あくまで他の生き物と比べて、という但し書きが付くが。
人間は放っておけば欲得のために何でもする。
戒め(立法)や救いによって縄を付けておかなければならない。

慈愛(アガペー)や正義の心は実際は辛く孤独で悲しい。
「コンドールマン」における悪の象徴、「モンスター一族」が
こんなにも生き生きと楽しそうに描かれていることに、そうした感を
強めてしまうのだが・・・。
番組ではキングモンスターを倒すことは出来なかった。
しかしコンドールマンはモンスター一族の
撲滅のために生まれてきた鳥人。それを果たしてしまえば
彼に存在意義など無くなってしまう。

正義とは、そういうものなのだ。守る必要の無い、戦う必要の無い世界に
正義はそもそも存在しない。それが平和なのか、否か?

主題歌も、人間の業を強く反映した歌詞だ。幾度となくリズムが変化する
アレンジも冴える名曲である。


ああ。またしても長文でごめんなさい。
次はスーパー戦隊をやろうかと思っている。何かはヒ・ミ・ツ。
| 永井 Lee(lee-sewing) | 09:19 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「超合金ロボ 大鉄人17」
巨大ロボットが活躍する特撮ドラマ、といえば
古くは「ジャイアント・ロボ」「マグマ大使」
(「鉄人28号」の実写版も存在するが鉄人は人間とほとんど同スケール…)
「マジンガーZ」から始まるロボットアニメブームは
「仮面ライダー」に始まる変身ヒーローブームに取って代わることになり
実写ドラマにおいては宣弘社の「レッドバロン」「マッハバロン」
(形態的にロボットぽくないがジャンボーグAもロボットだ)
が当たって東映もジャイアントロボ以来の巨大ロボット物を企画。
石ノ森章太郎原作による「大鉄人17」が誕生する。
(オッス!おらワンセブン。)

合体変身ロボ、のブームは超合金という玩具のヒットを生み出すが
マジンガーZはさておきアニメのロボットの変態ギミックは
非常にインパクトがあるものの再現不能、もしくは困難な
モノが多い。「ゲッターロボ」「コンバトラーV」などは
超合金合体ロボを持っていたらおおいに羨望の眼差しを受けたものだが
アニメみたいにスマートにはいかないのである。おぼえている方も多かろう。
あの当時でギミックが再現できたのは「グレンダイザー」
(円盤に格納するだけだが)「ライディーン」(ゴッドバードかっこいー)
ぐらいかな。「鋼鉄ジーグ」に始まるマグネモシリーズもウけた。
砂場で遊んで砂鉄をイッパイくっつけてダメにしちゃうガキンチョが
大勢いたとかいないとか(私だ)。
(変わる変わる〜)

そうして実写特撮出の巨大ロボとして企画された
「大鉄人17」の登場となる。
「玩具として再現可能なギミック」というスポンサーの意向を
如実に反映した造形がなされ、曲線の少ない、ゴツゴツした
ワンセブンのシェイプは石ノ森氏にすればまだプロトタイプ、
な出来だったようだ。そこが魅力でもあるのだが。
余談だが幼少時なかなか親には超合金を買ってもらえなかったが
アニメじゃなかったおかげか「大鉄人17」は買ってもらえることになった。
ワクワクして箱から取り出した「要塞形態17」はなんと
変形しないロボットに永遠にならない形だけのものだった。
珍しく大泣きしてちゃんと変形する17を買ってもらえた、
というのを覚えております・・・あれはウレシかったです。
前置きが長くなったが
物語は(機械)文明への警鐘、が織り込まれたハードなSFタッチ。
その象徴がスーパーコンピューター、ブレイン。地球環境の保全を
目的として人間が技術の粋を結集して建造したブレインは
自我に持ち暴走、地球のために文明による環境破壊を止めない
人間を排除する、という答えを導き出した。
超生産能力を駆使し数々の巨大ロボットを造り出し破壊活動を開始する。
その一体がワンセブンであった。ワンセブンもブレイン同様に
自我を持ち、人間を守るというブレインとは真逆の答えを出した。
「意志を持った変形する大鉄人」ワンセブンの魅力が
番組の大きなポイントであるため、相対する人間側の登場人物も
独特の配役がなされていた。
当初人間を守る存在か否か、という謎めいた存在であった
ワンセブンの活動を解除しその後人間側のパートナーとなる主人公、
南三郎少年。「人造人間キカイダー」「電人ザボーガー」に
レギュラー出演した子役、神谷政浩氏が演じたが、
ちょっと大きくなって声変わりが印象的。
ワンセブンから意思疎通が出来るヘルメットを渡される。
当初はかぶりたくなさそうである。カッコ悪いもんね。
でも結局かぶる。
当初ワンセブンはヘルメットをかぶった三郎少年としか
コミュニケできなかった。言葉をしゃべることは無かった。
人類の敵となったブレイン。
国際平和部隊の「レッドマフラー隊」はブレインの警備にあたっていたが
ブレインの破壊活動に対抗する任務を負うことになった。
レッドマフラー隊の指揮官、佐原博士(演:中丸忠雄)。
突如現れたなぞのロボット、ワンセブンの解明、終盤ではブレインに
対抗するスーパーコンピュータの建造を行う。
その長女、知恵もレッドマフラー隊の隊員。初代隊長の婚約者だったが
初代隊長はブレイン党に潜入するが惨殺される。
その後二代目隊長としてやってきたのが剣持(演:原口剛)。
入隊した三郎少年を厳しく指導する。
佐原家の次女、ルミ(演:島田歌穂)。中盤から突如
ベリーショートに髪型が変わる。別の仕事の兼合いだろうか。
ブレインが凶悪犯や犯罪者を世界中から集めてブレイン党を結成。
前半はレッドマフラー隊とブレイン党による軍隊然とした攻防が
主軸であり、さながら戦争映画とおぼしきハードな展開も多い。
子供番組らしさが希薄なせいか視聴率は伸び悩み、後半に向けて
路線変更がなされる。ちょっと残念である。
ブレイン党。いわばブレインにいいように使われる人間たち。
ブレインと幹部たちの対話シーンは印象的である。
ブレインの映像イメージは実に秀逸だと思う。

ブレインを暴走させた原因をつくった張本人、影の主役、
ハスラー教授。自分が支配者のつもりだがブレインにやり込められ
逆ギレしながら渋々従うというのが毎度のパターン。
演ずる大月ウルフ氏の代表作といえる役。ヘンなガイジンを
演じたら右に出る者はいないがピアニスト、フジコ・ヘミングの実弟。
現在は彼女の記念館のオーナーだそうだ。

当初の指揮官としてブレインに召還されたのがキャプテン・ゴメス。
演ずるは平田昭彦氏。その片腕のチーフ・キッドは山口暁氏。
何気に豪華な面々が揃っている。この前半の「ゴメス編」は
戦争映画的で独特の展開を見せ面白い。



ブレインロボットのレトロでメカらしい造形もよい。
着ぐるみというより特撮の醍醐味をちゃんと魅せている。


しかし中盤ゴメスの戦死以降、番組は様相が変わってゆく。
突如、ワンセブンが「しゃべり」だすのだ。もはや
神秘の巨人ではなくなった。
そして三枚目的キャラクター、ガンテツ(演:高品正宏)が
登場する頃からファミリー向けな物語も増える。

さらにゴメスに続く新幹部、ブラックタイガー(演:山本麟一)。
チベットから来た怪僧、で念力など機械科学と対極な人物がなぜ
ブレインに呼ばれたのか不明。
彼の部下、ピンクジャガー、ブルージャガーという女性の
お色気要員まで導入して娯楽色が強まり、ブレインロボットも
何とも戦隊ロボットぽい感じに。最たるのがワンセブンの
弟ロボット、ワンエイトの出現。
「ニイサン!」「オトウトヨ!」
そりゃないよ、ワンセブンとワンエイトをレッドマフラー隊が
誤認する描写があるがそれもあんまりだと思ったり。
(オトウトと遊ぶワンセブン)

ワンセブンは最後、三郎少年との友情に殉じてブレインと
心中する道を選ぶ。涙のフィナーレとなった。

幾つかのキーワード「グラビトン!」「超生産能力」など
SF色が魅力だったワンセブン。人間が自ら生み出した機械文明に
翻弄される風刺的な一面も相まって他の子供番組とは
ひと味違うテイストが溢れていた。私は好きだ。

ふぅ。
長文最後まで読んで下さって感謝です。
 
| 永井 Lee(lee-sewing) | 23:08 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「神々の戦い」

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久々に特撮系のレビュー掲示板なぞ覗いてみると


「仮面ライダー剣(ブレイド)」の評価が随分上がっていて

ちょっとテンションが上がる。

放映当時は芳しい評価を得られなかったこの作品、

放映開始〜序盤の放送で観るのを止めたが、

その後、改めてソフトなどで最後まで観た、という人が

多いようだ。判で押したように序盤はツマラナイが

だんだん面白くなり終盤まで一気に観て評価が一変した、

と書かれている。まあ確かに。

序盤がツマラナイとは思わないが何せ主人公含め

仮面ライダーたちはまだ戦闘能力が弱く情けないし

所属組織BOARDの壊滅及び「アンデッド解放」の謎など

もやもやした展開ばかり続く。勧善懲悪のヒーロー的爽快感が

圧倒的に足りないのだ。しかし逆に

ここをこのように描いておいたからからこそのライダーの

成長とフォームチェンジで、物語の太い根幹となり

幾つもの壮絶なバトル描写のリアリティへつながっている。

リアルタイムで観ていない私は一気通貫で観たので幸運だった。


物語の鍵である「53体のアンデッドのバトルロワイヤル」、

そしてカードを使用する変身と必殺技など、

「仮面ライダー龍騎」のライダーのバトルロワイヤルの流用では?

とも揶揄されていたがむしろ龍騎の問題点を補完しきちんと

体系化した点を評価しないとイケナイ。戦闘自体はシンプルであり

身体を張った白兵戦はライダー、アンデッドそれぞれの

身体的、種族的特徴を活かしたリアリティのあるものだ。


冒頭に書いた掲示板のレビューの中で気になるものがあった。

ギリシャ・ローマ的英雄神話を蘇らせたもの、と捉えられる、

というもので、中盤から終盤にかけて、私も似たような感想を持った。

地球上の主だった生物種の属性を持ったアンデッドが

生き残りを賭けて最後の1種になるまで戦い、勝ち残った種に

繁栄を許される、という設定は短絡的だがこれを

そのまま神々の戯れ、じゃなかった戦いと思いたくなるのだ。

BOARDを設立し、そして自ら壊滅させバトルロワイヤルを

復活させた張本人、森次晃嗣氏演じる天王寺がこのように言う。

「私は今ここに新たなアンデッドの誕生を宣言する」

「そして私は神の声を聞くのだ」

決して「私は神になる」という発言ではない点に留意したい。

これが神々による戦いであるが故の恐れだ。

神々は野蛮であり、勝手気侭であり、また強大な力を持つ。

我々人間始め、この世の生き物は神々の戯れに翻弄され、

蹂躙される。理由も分からぬまま。


「剣(ブレイド)」におけるアンデッドは自分の種のために

猛り狂い、時に策を弄して自分以外のアンデッドを排除(封印)せんと

戦いに明け暮れる。通常人間たちはその戦いに気づくことは無い。

それは栄華と転落の神話のように思える。


「神の声を聞く」とは、神が真理を語るのではない。

神の行動原理を知る、生きるとはどういうことかを知る、

ということに他ならない。善悪の観念とは違う地平で。


それが「戦争」なのだろうか。


神が真理を司るキリスト教では神は自分そっくりに人間を造った。

万物の創造主はひとり=神である。故に神々の戦いはない。

それなら、戦争は回避できるのか?でも実際はそうではない。



一介の子供番組とはいえ、そこに映し出される戦闘の映像を

手放しに楽しむことはできない。ヒーロー番組は常に矛盾を孕んでいる。

誰かが怒れば誰かは笑い、誰かは泣く。

そこが描かれているからこそ、暴力をエンターテイメントにできる。


野暮なことを書いて申し訳ないですな。

まあ、「仮面ライダー剣(ブレイド)」はおススメなわけです。

何度も書いてますが。機会があれば是非全話ごらんください。


| 永井 Lee(lee-sewing) | 13:44 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
今も中東の空に…「光の戦士 ダイヤモンドアイ」
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今も中東の空に…「光の戦士 ダイヤモンドアイ」
久しぶりに昭和のヒーロー番組を取り上げよう。

1973年秋から半年間、前番組「愛の戦士レインボーマン」同様
NET系列にて川内康範原作、東宝制作の特撮ヒーロー番組として
放映された「ダイヤモンドアイ」。
1年間続いたレインボーマンほどの人気は獲得できなかったとはいえ
ダイヤモンドアイの「外道照身霊波光線」を受けて
悪事を働く人間に化身した前世魔人たちが「ばれたか〜」と
正体を現す一連のやりとりは子供たちに受けたようで
社会問題になったとか、ならないとか。
まず、ダイヤモンドアイはダイヤの精である。
「アラビアの王」とよばれるブルーダイヤ。つまり
アラビア出身の神の使者なのだ。にも拘らずその言動、
人間たちに向けて放たれる言葉には仏教的倫理観が
色濃く、また古風な言葉遣い(「余は…」「外道!」など)
も相まって何ともアジア・オリエンタルなヒーローである。
ちなみに番組名ではあるが主人公ではない。
主人公はフリージャーナリスト(第一話でフリーになる)の
雷甲太郎である。第一話のみであるがバイクレーサーとしても
活動していた。彼が政界スキャンダルに関わる事件を追ううちに
アイが封じられたダイヤと巡り会うことになり、
ライコウ(雷甲太郎の通称、以降はこの表記で)の義侠心に打たれた
アイは「アラビアの王」の付いた指輪「アイリング」をライコウに託す。
以後、ライコウがピンチに陥ると「アイよ〜っ!」と叫び、
(但し、出現するには光が必要、など条件がある)
ダイヤモンドアイが登場、冒頭のやりとりを経ての立回り、
というのが番組の基本的なパターン。
香港マフィアの黒幕、といった感のある源海龍、彼こそが
前世魔人の王、キングコブラの人間としての姿。
ほかにも幾つものフィクサー、権力者としての顔を持ち、
物語中でも「アジアの資源を調べる会」「アジアの子供を守る会」
などの会長に顔を変えて収まっている。第1話では
政財界の黒幕でダイヤモンドのコレクター、大沢山の汚職を
斡旋する目的でかのブルーダイヤ「アラビアの王」を日本に持ち込み、
ライコウとダイヤモンドアイを引き合わせることになる。
結果的に自らの首を絞めることになるとは知らず。
悪業の限りを尽くすが、前半は連続したストーリー展開のなか
「アジアの子供を守る会」への疑惑をもとに源海龍へ
たどり着かんとするライコウたちの活躍を描く。
カボ子。トランプ使いで度々活躍。ライコウに協力する。
ライコウがフリーで行動を開始するとともにスナックを開業。
実はある財閥の養女で、のちのち物語に絡んでくる。
ライコウの仕事仲間だったカメラマン、五郎。
ライコウの後を追ってフリーになった模様。カボ子のスナックを
手伝う。
ほかにライコウの父親代わり海藤警部(演:玉川良一)
ライコウの元上司、大沢山の娘京子らが重厚に絡んでくる。
「アジアの…」で変装した源海龍を信じて疑わない青年、北見を
のちのバトルジャパン、谷岡正規氏が演じており、
ライコウと熱く絡み合う。前半の終盤近く、源海龍の正体を知り、
ライコウの協力を拒み独り立ち向かい、殺される。
もうひとり、ライコウの母親役で菅井きん。
登場回数は少ないが強烈な印象を残す。初登場時には
ライコウにお尻ペンペンの刑を炸裂させているし。
誰も頭が上がらないおばさん役はこの方で決まり。

主役ライコウ役の大浜詩郎を始め、役者陣みな重厚かつ達者で
レインボーマンのような派手さはないが
子供番組とはいえドラマにいぶし銀のような深みを与えている。
前世魔人たちのいる魔界。
前世魔人たちはいくつかの族に分かれており、入れ替わり立ち替わり
登場してくるが、それぞれ人間の姿で殺し屋として登場する。
その人間態を個性豊かな俳優たちが怪演している。
これは川内作品には共通なお楽しみではあるが。

猫マスク(塩沢とき)説明無用の大女優。
殺し屋サタン(北九州男)知る人ぞ知る悪役俳優。
ダイヤモンドアイの「外道照身霊波光線」を浴び…

正体を現すのだ。
ゲララチン
サタンバット

アイの絶対的必殺技「ロイヤルパンチ!」
アイはステッキを奪われると弱くなる。幾つかの技は
ステッキを用いなければ発動しない。実はステッキが実体なのでは?
という噂もある。
一度キングコブラを敗走させ、一貫したストーリーとして
追ってきた源海龍の悪事を潰すことができた。
重傷を負ったキングコブラは魔界に引っ込み、娘の蘭花を
ヨーロッパから呼び寄せる。後半は父に代わって
前世魔人たちの指揮を取ることになった蘭花の、
悪に徹し切れない弱さとライコウとの関係が物語の柱となる。
 
蘭花。演ずるのは隅田和世。日活ニューフェイスとして
映画女優の道からテレビに転向、特撮ヒーロー番組への
出演が多かった。中でも「キカイダー01」とこの
「ダイヤモンドアイ」がつとに有名ですね。ほとんどの役が
薄命薄幸のヒロインで、この蘭花も正と悪の間で揺れ動く
役柄。ただ唯一ハッピーエンドで生き残った。
前世魔人としての姿、ヒメコブラ。なるほど。

というわけで後半は前半の緊迫感が薄れ
コミカルかつ主要キャラの人間関係がメインの話が
多くなる。アイもライコウに悩み事相談の体で呼び出されたり。
このアイという存在、他のヒーローとは
一線を画す面白いキャラクターである。
ダイヤの精、つまり実体化した精霊(フェアリー:ハクション大魔王と
同類、同じアラビア出身だし)ということになるのだろうが
その献身ぶり(献身もの、番組を呼んだりするらしい)、正義のために
戦い続ける孤独なヒーローである。毎回戦いのあとにライコウと
相向かい、「共に正義のために献身しようぞ」と語りかけて
空へ向かって去ってゆくが、何だか涙ぐましいぞ。
やがて傷の癒えた源海龍が現場復帰し、クライマックス、大決戦を
向かえる。

最後、ダイヤモンドアイは「日本の悪は滅んだ。今、余の故郷アラブにおいて
余を必要としている。東の空に光が輝き渡る時に、また会おう。」

その通り、現実にアラブ世界は光と炎に包まれ、変革しつつある。
だからアイよ、なるべく近いうちにまた日本に戻ってきておくれ。
アイよ〜〜っ!

| 永井 Lee(lee-sewing) | 11:11 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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